学校法人 原田学園 鹿児島情報高等学校

お知らせ

新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための心の過ごし方

長引く新型コロナウイルスの影響で、児童・生徒・学生の皆さんは不安やストレスを抱えています。原田学園の臨床心理士・スクールカウンセラーの山本直彦先生が、「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための心の過ごし方」をアドバイスしてくださいました。是非、ご覧ください。

令和 2 年 4 月 28 日

生徒・学生の皆さん

新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための心の過ごし方

学校法人 原田学園

臨床心理士・スクールカウンセラー 山本直彦


新型コロナウイルス感染症という未知のウイルスが世界を脅かす中、私たちはとても不安な状況に置 かれています。この不安の状況を乗り越えるための工夫をいくつかお知らせします。出来そうなことか ら行動してみましょう。

1.一日、一週間単位でスケジュールを立てて行動しましょう。

人間は安定を求めます。安定のために人間は予想・予測するのです。そのため、今の生活がいつま
で続くのだろう...と先が見えないと私たちは不安になります。でも、大丈夫!!私たちは自分の時間 を計画する能力があります。起きる時間、ご飯の時間、勉強の時間をしっかり計画しましょう。「次 は○○をする」がはっきりわかる生活を送りましょう。計画の中には、○時に友達とオンラインでゲ ームをする、○時にオンラインでお茶会をするなどの楽しみを入れましょう。スケジュールを立てる ことで自分の生活に秩序をもたらし、予測できる1日にしましょう。予測できる1日1日の積み重ね が、予測できる1週間となり、その積み重ねが笑える1年後となります。

2.人と繋がり続けましょう。

人との接触を減らすことが命を守ることになる今、人との繋がりが絶たれやすい状況にあります。
命を守るためといっても、人との繋がりが絶たれると人間は不安になります。だから、「今できる 形」で人と繋がりましょう。家族が側にいる人は家族との時間を楽しみましょう。話す話題がなけれ ば、一緒にゲームをしましょう。それも難しい時は、一緒にバラエティー番組を見ましょう。家族が 側にいない人は、オンラインで人と繋がり続けましょう。メール、電話、オンラインゲームでもいい かもしれません。さらにお勧めなのはフェイスタイムやズーム、スカイプなどでお互いの顔を見られ る繋がり方です。映像を通して楽しい物を共有し、笑顔を共有しましょう。

3.自分の身体を動かしましょう、行動しましょう、主体性を取り戻しましょう。

人間は脅威に曝されると逃げたり戦ったりしようとします(逃走闘争反応)。この反応はとても自
然なことです。しかし、今我々は逃げたくても逃げられない状況(外出自粛)ですので、闘争しよう とします。つまりとてもイライラしやすくなっているのです。このイライラを家族や友達にぶつけた くなるかもしれません。しかし、悪いのは新型コロナウイルスです。お互い不毛な闘争はやめて、こ の闘争したい気持ちを生産的な活動に生かしましょう。料理が好きな人は料理をしましょう。絵が描 ける人は絵を描きましょう。ゲームが好きな人はゲームをしましょう。木工が好きな人は木工をしま しょう。掃除が好きな人は掃除をしましょう。
また、脅威に曝される状態が続き、無力感を持つと、ボーっとした何も感じない状態になります。そうなる前に(そうなってしまっても)、自分の身体や心が自分のものであるという感覚(主体性の 感覚)を取り戻しましょう。ストレッチ、ヨガ、呼吸法、筋トレもいいと思います。自分で自分の身 体の感じを感じ取れる運動をスケジュールに取り入れましょう。草取り、トイレ掃除、お風呂掃除な どもいいかもしれません。自分の身体を自分のものとして、主体的に動かす時間を作りましょう。そ して、ぜひ行動した内容を人との繋がりの中で共有しましょう。

4.安心感、安全感を持てるようになりましょう。

あなたは自分がどういう時に安心感、安全感を持ちますか。自分が何によって安心、安全を感じら
れるかを考えてみましょう。好きなアーティストの曲を聴く時かもしれないし、大好きな毛布にくる まれている時かもしれません。また、大好きな人の顔を見ている時かもしれません。大好きな人と一 緒にいることが難しくても、オンラインや動画でその人から安心感を得られるかもしれません。
また、人といることで逆に安心、安全を得られない人は、プライベートな時間、空間を持ちましょ う。そのために、一緒にいる人とお互いのプライベートな時間、空間のルールを決めましょう。


最後に 今回のこのメッセージはトラウマ研究で有名なベッセル・ヴァン・デア・コーク博士からのメッセージ(https://www.ajcp.info/heart311/wp-content/uploads/2020/04/20200424_1.pdf)を参考に私 なりに少しアレンジして作っています。
是非身近な人と一緒に読んでみてください。よくわからない時は先生方に質問してください。そし て、一緒に今の過ごし方を考えていきましょう。大切なのは、今繋がれる形で人と繋がり合い、いろ んな人と知恵を出し合うことです。みんなで乗り越えましょう!!